いくら呼んだって返事がない、彼女の返事がない。
彼女の返事がない
いくら呼んだって返事がない。
木の枝にいる鶯は豪快に鳴き、穏やかな季節の訪れを教えてくれる。温かくなるとなんだか優しい気持ちになれるようだ。都会に住む僕は混雑した電車に乗り、通勤する。ぎゅうぎゅうの車内、肘が少しばかりぶつかるだけで苛立ちが増す。その時は無責任で愚直な表情をしているに違いない。小さい子供を微笑ましくみる余裕など到底なく、通勤に必死なのだ。
しかし、気持ちの良い天候が、今まで気にかかっていたささいなことを嘘のように消してくれた。自分がとても冷静な人間のように感じる。週末は少しふるびたソファーの上で微睡む。また、コンビニで買ったカフェオレにひと時の癒しを覚える。つまり、1人で十分に生きている。
昔、祖母は「人は何かに依存しているのよ」と口ぐせのように言っていた。自分の行動への逃げ口上のようなその発言が、どうしても嫌いになれなかった。もう遠くにいったけれど、祖母との暮らしを思い出すと心が喜ぶ。感情の一部を切り取る記憶とは、残酷なのかもしれない。今日も僕は慎ましい感情と暮らしている。過去と今、他人と自分、比べるものではないけれど十分に幸せだ。
それなのに、一度も口を開かないのはなぜ。
彼女は無表情で笑っているだけなのかもしれない。
今日の一曲
今日の一曲は・・DJ紙ヒコーキ a.k.a 笹谷創のビートです。
このビートを聞きながら上の文章「彼女の返事がない」を読むとまた違った読後感に包まれるかと、新鮮味が増し増しの模様かと^^bb文字にも色をつけられるはず。