『ただ1日の牡蠣奮闘記』 ウィルスを経て。
牡蠣奮闘記
ええ、当たりました。
それは確か8年前と記憶しております。その時、「牡蠣はもう絶対に食さない」と覚悟を決めました。しかし、気づけば牡蠣をバクバク食していました。特に当たることもなく、平穏無事な日々が流れていました。
つい先日も「口の中で神様が踊る」と思いながら、いつもどおり美味しく牡蠣さんをいただいていました。
ええ、当たりました。
ウィルスの潜伏期間でまだ身体に症状が出ていない時、何も知らずに唐揚げ弁当を食べました。この時、すでに嘔吐へのカウントダウンは始まっていました。未来では地獄の鐘が鳴っていましたが、私は何食わぬ顔で過ごしていました。
突如、身体に異変です。
「ああ、大変だ、大変だ」そう呟きながら雪隠に駆け込む私。
頭痛と吐き気・・最初、2日酔いかとも考えました。何度も雪隠へと駆け込む自分を見て「何かがおかしい」と感じ取りました。
ええ、当たりました。
出先だったため、帰りの電車は辛すぎました。
頭を上げることもできずに、ずっと下を向いて過ごしていました。
下を向いて屈むその姿はとても情けなかったように思いますが、気にする余裕さえありませんでした。
体力はどんどんと消耗され、途中の駅で何度も降りていました。
何とか家へ着いた私はすぐに布団を敷き眠りにつきます。
腹痛が襲い眠れないながらも横たわります。横たわるその姿は、さながら置物だったはずです。
あくる日、大分と症状は治まっていましたが念のために病院へと行きました。
診断の結果、やはり牡蠣が当たっていたようです。
点滴を受けるとさらに体力は回復してきました。ただ、1日の奮闘記です。
考えてみると奮闘ではないのかもしれません。抗う余裕もなく、ただ過ぎる時間に身を任していただけなのですから。
現在はすっかりと回復しています。
8年ぶりに牡蠣さんにやられました。それまでは美味しくいただいていたので1勝1敗といったところでしょうか。
ええ、ええ、当たりました。
これからも牡蠣さんとの戦いは続きそうです。