白い壁-冒頭-
白い壁-冒頭-
彼は真っ白で清潔感に溢れている。この部屋には食料も鏡も時計もない。その部屋で裸の私がいるだけだ。ここで得た情報は、「白い壁は頑丈で叩いてもビクともしないということ」、周囲から隔離されているため、昼か夜かを知れるはずもなく。
ここでは季節はおろか気温さえ完全にコントロールされている。また、比べるものがなく、負の感情を抱くことさえできない。真っ白なその壁も均一にペンキで塗られており、むらがない。壁にある僅かな凹凸を発見し、感情を少し揺さぶることさえもできない。肉体的苦痛はここにあらずとも、あらゆる局面を潰された、精神的な瞬間だけが残る。
やがて腹が減り、抱く感情が変わるため、せめてこの現在を書き留めている。独り言は物語にはならず、孤独の内に散っていく。美しさにたどり着こうとするが、描写が役に立たない今、ただ空想から筆を進める。
「散文や詩の儚さを愛でずに、状況から絞り出す」「これはよもや努力だ」
白い壁にたった二言がぶつかった。
帰りの電車
帰りの電車、ふとまる子ちゃんを見ていた。前田さんシリーズをみていた。
気の強さとか空気の読めなさとか、典型的になんかあかんねんけど・・これは、泣けてきます。だんだんと愛らしくなってきます。