現実は霧がかり夢うつつ
下北沢
若くて可愛らしい女性が片手にお酒の缶を持つ。
シャッターの閉まった店の前に座り、比較的大きい声で話す。
「あの人に、キスさせ過ぎ」
「コミュニケーションやし」
時間は朝方の4時。他にもそこら中に道でワイワイしている人がたくさんいた。
何が下北沢らしいのか全く理解していないが、とても下北沢らしいと思った。
深夜1時、目的地へと向かう。階段を下りている途中にズンズンとベースの音が響く。イギリスのパブのような男と女の社交場。人が集まる場、人には色々な顔があると知る。朝の通勤の満員電車を思い浮かべると、目の前との空気感の違いに驚く。女性と男性の距離は近く、表情は綻び悦の時を過ごしている。互いを「知らない」ゆえの楽しさ。それは麻薬的で刺激を求める人の性質の理に適っている。
現実は霧がかり夢うつつ、カウンターには飲みかけのグラスが置かれている。幻想のような「場」そのものに恍惚とし、ステップを踏む。それはある種のセックスアピールであり、人間の自然な行為だ。少々の猥雑さは心を踊らせる。音楽はそれを助長させもする。
悦楽を共有するその宴は、束の間である。生活を紡ぐために必要なひと時。外に出ると薄ぼんやりと光がさす。いつのまにか、人々は帰路につく。
わざわざ、帰る時に送ってくださった。気のいい方ばかりで楽しゅうございました。
記念写真。
(後ろーーー!!)