幼き目で見つめ伝える東京。
東京
夢幻に囚われ、連れられた東京。栄華を求め歩けども、眺めは水平線に広がる。
夢の跡とはよく言ったもんだ。散るは咲くはのどんちゃん騒ぎ。画一化とセンスの狭間で心は揺れる。声の大きさを頼りに探ろうとする人々は、どのくらいだろう。
闊達なのか、泣き声なのか。ここでは、判断することこそ愚かだ。趣向を凝らす自己満足。納屋の奥にしまったような喜怒哀楽。産声ではなく怒号に皆目置く。都。
色調には抜かりがなく、狡猾におしとやかに、矛盾を孕んで生きる。現在地点、そう感じている。
微風を浴びる木々を見る。上空に近い葉とそうでない葉は、別々に生命を持つ。
葉の隙間からは、洗練された東京の光が覗く。植えられた木も商談に身を投じる人々も微動だにしない。東京。24時間周期が巡る。
一番高い場所にある時計台は、何に微笑む。象徴を背負されたそれは、錆びや敬いを知っている。幾度となく、見た。聞いた。知った。だったら?変わったら?
ロイヤルミルクティーの響きに微笑み合う女性。見られる対象を密かに忘れる時間。さあ、おしゃべりは自慰行為だ。店内を華やかに飾りあげる美しい横顔。退屈は忘我させてはくれないのだから。
「あらあら」と呟くお婆さんと、画面の中で戦う格闘家。互いに平常を保ち、託つはずもない。左フックがお婆さんの右の頬に当たる。いつもここにある、東京。