『快も不快も洗いざらいの人間交差点』 高円寺路上ライブ
高円寺路上ライブ
「外で音楽を鳴らす」まず、それだけで気持ちがいい。
音楽が好きな人が集まって、音楽を聴くのもいい。
ただ、日常の流れの中に、音楽が溶け込んでいるという状況も良い。
式部氏の歌声が街の色を変える。
ビートを流してフリースタイルをしていると、自称84歳の見知らぬおじいさまが近づいてくる。ハンチングをかぶり、少し腰を曲げながらステッキをついている。
「84、84!」と邪気のない笑顔を振りまいて踊ってくれる。軽やかなステップと満面の笑みを見ていると、心も踊っているのがわかる。
そんなファンキーなおじいさま、待ち合わせをしているであろう少しケバめなお姉さんたち、ボケッとタバコを吸いながらも、金曜日の空気を吸っているスーツ姿のおじさん。
とどまる音楽と行き交う人々の対話。
その中には、音楽が雑音にしか聞こえず不快をもよおす人もいる。
警察がやってくる。
「悪いけど、苦情が入ってしまったのよ」
「テンション、下がるわ〜・・とりあえずおまわりさん、CD一枚買ってくれへん?」
いつの間にか警察官の脇に挟まっているCD。
気づけば、福井出身だというおじさんが輪の中に入っている。
「ここは警察がすぐ止めにきよる、中野とか行ったらどう?」
「東京全域ダメなんですよ〜」警察は慣れたように言う。
音楽が『あなたは一体!?』みたいな空気を取り除いてくれた。
快も不快も洗いざらい、高円寺人間交差点。