『割り当て』
2019年08月04日
あちらとこちらを隔てる黄色の柵。塗料が剥がれ錆びついた鉄がみえる。すぐに乗り越えられるその柵は、何もしていない。整備員が深夜に分電盤を調整するために近づくが、特に気に留められることもない。思い浮かべられない存在に価値などはないのだろうか。比べて、電車は多くの人々を運び、交通網として最上位に立つ。
人々はただ移動するだけではなく、そこで用事をも済ませる。文明の利器は人間の生活に溶け込みあっていく。動く車窓から見えるマンションの光、信号を渡る老婆、便利さは日々の暮らしの小さな発見を吸収している。