異国の客を読んで
2020/08/14
最近、一切本に触れていなかった。
本読みを再開ということで、池澤夏樹さんの異国の客を読んだ。フランスでの暮らしが書かれたエッセイ。強制収容所は英語で Concentration というらしい。集中や専念という意味。これを"文明の原理そのもの"と捉えている。人やモノを都市に集めるところから始まったと。
人やモノがない状態では、何も始まらないのか。その結果を見るならば、"世界のどこかにある人の手が介入していない場所"を見ればいいのか。宗教画についても言及していた。時間を超えた永遠性があり、あるべき姿であるべきように描かれる形式的なものと説明。宗教画だけど、その形式を逸脱した絵として、ジョルジョ・ド・ラ・トゥールの「妻に嘲笑されるヨブ」を紹介していた。ヨブさん、財産と家族を失っても信仰を貫いた人、妻に嘲り笑われるのか。それぐらいが家庭の平穏を保てるのか、一体どうなんだ。
誰にもわからないことは、誰にもわからないままにしておくべきなのか、快適さはその上に存在している。そういう生き方も良い、話が飛ぶ鳥を落とす勢いで、ああ、とんでいく。