日記

ある日、おじいちゃんに「客観性に収斂せよ」と説かれ、言葉の存在意義を考え始める。言葉の持つ諧謔性・残忍性・恣意性に導かれる。 - 総合芸術家集団「auly mosquito」 代表 http://auly-mosquito.com ・HomePage http://so-sasatani.com

特筆すべきのない平凡なふたり:寿司の写真を貼ろう。

物語中の会話は想起させる力が強い。登場人物が今まで生きてきた感性、“その言葉を選んだ”というところ、すべてを含んでいるかのよう。

 

「梨をひとつ食べるよ、私にも」「蝶々のように、とんだりして。」

「酔っているだけよ、いつも」「窓の隙間から入る光みたいね。」

「その傷はいつ頃からあったの」「本当は、自分のあざとさが好きなんだよね」

「そんなのだから、いやなの」「ありがとうね」

 

会話だけおこしても全然違う。どうしよう。寿司の写真を貼ろう。

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あきらめず、間に会話以外をはさむ、下記、練習。

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あっけらかんとした京子は食い意地が汚く、欲情に流されるとき、眉をぴくりと動かす癖がある。

「梨をひとつ食べたい。私に」

共同生活を行う保育士の奈美子は、青白い顔をしている。いつも後手に回り、ほそぼそと言う。

「蝶々のように、とんだりして。」

食器棚から割のよさそうなグラスを取りだす。英語を上手く話せなさそうな老人が働くスーパーで買った大きめのロックアイスをそこにいれる。

「酔っているだけよ、いつも」

あきらめや卑しさのないトーンで京子は奈美子に言葉をかえす。続けて、記憶をひとつ頬張り、「窓の隙間から入る光みたいね。その傷はいつ頃からあったの」と矢継ぎ早に奈美子に話す。

「本当は、自分のあざとさが好きなんだよね」

その声はすっかりと震え、京子には愛嬌とすら受け取られる。

「そんなのだから、いやなの。でも、ありがとうね」

特筆すべきのない平凡なふたり。