聖なる夜、私はサウンドシステムと過ごしていました。
夜
瓦から垂れ下がった蔓はだらしなくも、自由を獲得し強風に煽られるばかり。その様子を眺め「柔よく剛を制す」という言葉を頭に思い浮かべております。昨日は日本ではすっかりおなじみの聖なる夜でした。私はサウンドシステムと過ごしていました。
労働の火照りもまだ消えぬ頃、地下の電車を乗り継ぎ乃木坂に到着したのです。重低音とやらが非常に恋しくなり、尋ねたのでした。日本語レゲエの開拓者ランキン・タクシー氏のサウンドシステム TAXI HI-FI から流れるデニス・ブラウンの曲。往年の名作に心は踊ります。ハイネケンを持ち、ぎこちなく揺れ、少しばかり酔っていたように思います。
くるくると回る45回転盤。その働きっぷりに、私の普段の腑抜けた仕事ぶりを反省してしまいます。それは炭酸の抜けたコーラのような・・。次々と湧き出る邪念をおいそれと音楽が追い越していきます。
「音楽は生活に余裕があるから楽しめる」twitterで見かけた一節がチクチクと心に刺さりながらも、心は満たされているのです。明日への活力といえば月並みでしょうか。
ロウやらハイやらミドルやら、やはり、その巨大な箱にはロマンを感じずにはいられません。BPMが少し上がり人々が加速していくころ、私は家へと帰るのでした。 この曲を聴きながら。