読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

独りぼっちのささじぃ。

ある日、おじいちゃんに「客観性に収斂せよ」と説かれ、言葉の存在意義を考え始める。日々、文字を連ね言葉の持つ諧謔性・残忍性・恣意性に導かれる。結果、物書きとなる。

『丸と四角』 1000文字小説

軽い小説

四角に僕は囲まれている。

身の回りを見渡せば四角いものばかりだ。パソコンに机、額縁。

外に出てみても四角い。建物は四角くどしっと構えている。

 

太陽は四角を照らし、時に反射させる。

僕はそれを受け止めようと思うが、どうにも気分が乗らない。夕焼け雲の前を通りすぎるトンボは丸い。でも、視界からすぐに消える。辺りを歩き四角を消しても別の四角が浮かび上がってくる。

ビルの窓を見ようが、屋上に行こうが四角はいる。四角は四角の責任を果たしているのかもしれない。でも僕は四角ではない。丸いのだ。四角の世界に没入してはいるものの丸いのだ。

 

四角と四角は接着しても呼応しない。丸には潜在的な力があると僕は信じている。でも、もし丸か四角を選べと言われれば僕は四角を選ぶ気がする。不思議だがその確信はある。

 

見ればわかるというシンプルな事実にも四角は動じない。丸は形を変えようとする。されど、それはまん丸でなくても良いのだ。四角は退化をしないように、丸は変化をやめないようにしている。

 

丸を信じているのに、この焦りは何なのだろう。正確無比への憧れなのだろうか。

丸は徹底した管理を有さないのだ。

 

四角は丸に興味を示さないと丸は思い込んでいる。

それもこれも辿れば、四角が羨ましいからだ。

 

「この地がいけないんだ。四角の割合がどうも多いんだ」

私はゆっくりと動いた。なるべく四角くないところへ。私が着いた先は四角が存在していなかった。

 

そこら中で丸は泳ぎ、移動している。

僕がしばらく泳いでいるとあたりが濁ってきた。濁った先にはまた四角がいた。

四角は憑き物のように取れない。仕方なく僕は元のいた世界に戻った。

 

いつも通りに四角がどしっと構えていた。

エントランスを通り人がマンションに入っていく。ベンチに腰掛けながらしばらくその様子を見ていた。帰宅ラッシュなのだろうか。2人、3人と入口を通っていく。

 

休憩した僕は次に丸が生い茂っている場所へと移動した。生き物たちは丸く、私は安堵した。四角いものに染められた身体が洗われた気さえした。

 

私は全く四角ではない。

誰がどう見ても、丸いのだ。

自分の目で自分の指を見ると、自然と笑みがこぼれる。

「ハハッ。やはり、丸いぞ。万歳!万歳!万歳!!」丸が両手を挙げ喜んでも四角は興味を示さない。ただ衰えないように存在するばかりだ。でも、僕は最後まで丸を称えた。

 

f:id:sasaworks1990:20170125212709p:plain