「夏、この手紙を何度、読み返したことだろう」
手紙
いかがお過ごしでしょうか。
異常気象を迎えた今年の夏、その暑さに蝉すらも鳴かないのだそうです。
ただ、やはり夏は夏で、そよそよと涼しい風が吹けば、心持ちも軽くなりますね。私の町には提灯が飾り付けられて、より季節を感じさせてくれます。提灯の姿形のなんと可愛らしいこと。わが子を呼びかけた時のような、そんな暖かみがありますわ。
今日、クリーニング屋に行ってきました。そこには、小さなラジオカセットが置かれていて、音楽が流れてて店内はいつも陽気なの。預けていた洋服を持ち帰るだけなのに、ピカピカに生まれ変わっていると確信できるの。
うん、やっぱりひとつの区切りを迎えること、それが大切になってくるわね。
短くもいやに仰々しい手紙になりましたわ。もう・・そんな年かしら。
しばらくお顔をご拝見しておりませんが、風の噂ではお元気だと聞いております。
こちらもぼちぼちやっています。
えっちゃんにもよろしくね。
筆圧は薄いのに、妙に存在感のある字で手紙は届いた。いくつも散りばめられた、いつも気にかけてくれた。夏、この手紙を何度、読み返したことだろう。