「聴いたことないぐらいの大きな音だわ!!」 26歳のOLが見た夢とは。
26歳のOLの夢
ぼんやりと街灯が灯る金曜日の夜。仕事を終え、ツカツカと帰宅する。
明日はやっとの休みだと安堵を感じる。楽しそうにお酒を飲む人たちを、冷めた目で、でも、どこか羨ましく見つめる。
輪の中に入れた・入れていないを基準にしてしまう自分に自己嫌悪を感じる。
コンビニで買った、大好きなパンケーキとほろ酔いチューハイをいただく。「これが、1週間での至福の時だ」と思い込む。
顔を赤らめながら、彼氏の匂いが消えたソファーの上で眠る。玄関の靴は脱ぎっぱなしで、散らかったままに。
彼女は、夢を見た。
そこには深緑色の大きいスピーカーがある。バーテンダーがいる。
「なによ、この世界は・・・」そこにはたくさんの人がいた。楽しそうに話している人、ボケッと突っ立っている人、自分の世界に入り踊っている人、お酒を飲んでいる人。
普段とは全く違う世界だ。輪の中に入れる・入れないを気にしなくてもいいんだ。
彼女は夢の中の話だと気づいていたけど、解放されていた。
「人の目を気にしないことがこんなに楽しいなんて!」「孤独は活動を弱め、のどかだわ」「聴いたことないぐらいの大きな音だわ」口からは次々と言葉が出てくる。
「こっちでは、なにやら面白そうに歌っているわ!!どうして」
「ちょっと怖いけど、なんだか気分がいいわ。夢だもんね。自由に振舞っちゃうわ」彼女はバーテンダーに、普段は頼みもしないチャイナブルーを注文した。その澄み切った色にうっとりとした。
「レコードを回している人は、とても素敵だわ」、彼女は自分がだんだんと積極的になっていることに驚いた。
「ふわふわとしていて、素敵な世界だわ。ずっと、ここにいたいっ!!!」
・・・彼女の目が覚めた。それから普段の生活が始まり夢のことは忘れていた。
2ヶ月後の金曜日に同じ夢を見た。
何度みても楽しい夢で、そこには普段の上司や友達はいなかった。世界の広さを知ったようで少し誇らしくもあった。
仕事の朝には、口笛を吹きながらコンビニでカフェオレを買う。日常は相変わらずだ。定時に帰ろうとすると、上司に「もう帰るのか!」と言われた。彼女はすかさず「ちょうど、時間となりまして」と言葉を返した。