「徹底、冷酷、約束を奪い去る。詩は頬に伝わる」 今宵は誕生日だ。盛大に祝おう。
私は新宿にあるカールモールに友とともにむかった。
夜は対峙し静観した気配を催す。新宿駅に降り立ち歩みを止めずひたすらカールモールへ。
今にもフリードリヒ大王の指揮によるフルート演奏が聞こえてきそうだ。
中世の西洋を想起させるその地に、ギターを担いだ野良犬たちが集まる。心象が冷え切ったつんざめく雑音に乗り、問いかけを忘れてしまった心。そんなものに呼応する瞬間を一夜は提供する。
今宵は誕生日だ。盛大に祝おう。
清澄し洗い出されるように、普遍的なるタスクはスットボケ。
おっちょこちょいもリーダーも、今宵は誕生日だ。盛大に祝おう。
血中へのアルコールが喜びを悲しみを増幅させ、また減少させる。
酔いは登ってきた階段を消失させる。響いているのか、呼応しているのか。判断の鈍さもひとつの指標だ。また、意思表示だ。
徹底、冷酷、約束を奪い去る。詩は頬に伝わる。
終結した年を木っ端微塵にするかのごとく、演奏は続く。
時間とともに経過する頑迷や構築をもあざ笑う。ひやりとしたその理由も気づかずに去ってしまうのだろうか。
視覚が奏でる階調も、繊細なピアノの音の前では無力だ。
魅力が言葉遊びだけでは、ギターをかき鳴らしたあいつが浮かばれない。
詩だ。詩をなぞろう。
さあ、今宵は誕生日だ。盛大に祝おう。