少しの儚さとどこか丸みのある描写 川端康成の「古都」を読んで・・
小説『古都』の雑感
川端康成先生の小説「古都」を読みました。
「一見、平明な文体に見えるが、何だかめちゃめちゃ尖ってる」という僕の中の川端さん観が少し変わりました。
控えめな描写と古き良きな感じを組み合わせた、心地のいい小説でした。
古都は京都を舞台にして、捨て子の千重子を中心に物語が進んでいきます。いい意味で小説に出てくる人物はだれも奮闘せずに終わります。
千重子の育ての親である太吉郎さんが、少し職人的なこだわりをみせてフンガフンガしているぐらいです。
古都の最後らへんは涙ほろりですね。
捨て子だった千重子が、出会ったのは双子の姉妹・苗子。
2人は双子といえども生まれたときから離ればなれで、違う環境で育っています。
そんな2人が時間を取り戻すかのように近づいたり、そうかと思えば離れようとしたり・・。
(略)最後に一泊だけすることになり、床について色々と身の上話をする。
なぜか僕はそのとき、小学生時代の林間学校の夜を思い出しました。
そこからは僕の感動分岐点を超えました。
別れの朝と淡雪の描写、僕は多くの人々が行き交う電車のホームで「さわやか過ぎる読後感」に包まれました。
織物と欄干
京都を舞台にしたこの小説、そこらかしこに織物が出てきます。
そもそも育ての父である太吉郎が、織物職人みたいな感じです。
ゴブラン織り、漆呉服、縫取縮緬、綸子、御召・・織物に対して全く知識のない僕は歯が立ちません。都度、手をとめてネットで検索します。
出典 YouTube
川端さんの小説を読みながら、ネットで検索しているとき「なんというギャップなんだ」と感じます。しかしながら、ネットがなければ、調べる手立てすら思いつきません。やはり、すこぶる便利だなといった心持ちになりました。
もう一つ、この時代の小説を読んでいると、欄干がやたらと出てきます。何かを象徴するものとして、出ているのでしょうか。
欄干は簡単に言うと橋などの手すりです。やたらと欄干が出てくるので、街で欄干を見かけると、「おっ、欄干やないか」と心の中でつぶやいてしまいます。
出典 Flickr
オーラで人を泣かせる川端さん
川端さんは女性へのコンプレッスがすごくて、女性編集者が自宅に訪れたとき、編集者の目をずっと見つめて何も言葉を発しなかったそう。そのオーラに編集者は泣き出してしまったらしい。
どこかで読んだ話なんで真実かはわかりませんが、完全にオーラの泉です。
その女性はどんな心情で泣いたんだろう?
1、見透かされた!
2、こわっ!!
3、どうしたらいいの!
見つめられると素直におしゃべりできずに、感情が複雑に交わりあったのでしょう。
しばらくは、そんなオーラがマッチョすぎる川端先生の本を読み漁ってみたいと思います!!(´Д` )
出典 YouTube